指輪

■レイル×アミダテリオン

「左手、出して」

彼の言葉に素直に左手を差し出した。
指輪がいくつも付けられたその手にそっと左手を取られる。

「…レイ、ル?」
「安物だけど」

薬指にシルバーの指輪を渡された。
左手の薬指――…
途端アミダテリオンがレイルから距離を取り退いた。
さすがに常識的にもこの意味は分かる。

「っれ、レイル、これ、はっ!!?」
「ん?」

仮面から火が噴き出るのではないと思うほど体中が熱くなった。
一緒に座っていたソファから慌てて立ち上がり彼から離れようとする。
が。

「どこ行くんだよ」
「っ!!」

手首を摑まれ、思い切り引っ張られた。
予想以上の強い力と突然の彼の行動にアミダテリオンは当然バランスを崩す。
そのまま座るレイルへ倒れこみ、自身の体を預ける事に。

「レイル!!」
「指輪、迷惑だったか? まぁそりゃ俺の収入で買った指輪だから質素だけど……でも、付け
なくてもいいから、持っておくだけ持っておいてくれないか?」

――どうやらこの男は自分がこちらの左手の薬指に指輪を付けた事に気付いていないようだ。
彼の顔を見上げる形でアミダテリオンはため息をつく。
少しでも期待した自分が馬鹿だったのかもしれない。

「嫌か?」
「嫌じゃありませんよ……指輪、ありがとうございます」
「良かった」

見上げた表情がニコリと優しく微笑んだかと思うと、その顔がこちらへすっと近付く。
一瞬だけ、彼の唇が小さくリップ音を立てて仮面に触れた。
突然の彼のキスに思わず身を竦めたが、それでも素直に受け止める。

「………レイル。左手の薬指に指輪を送るとどういう意味になるのか知っているのですか?」
「ん? 何かあるのか?」
「…プロポーズですよ……」
「っあ!!? ぁ、これ、左手の薬指か……悪い、知らなかった」
「………まぁ、いいのですけど」
「がっかりしたか?」
「!! そ、そんなわけ」
「俺はお前の傍にずっといてもいいぞ」

「…馬鹿」


モドル