「……阿呆か、こいつ」
メンバーのリーダー的存在でもあるドダイトスが、目の前の光景にため息をつく。
そこには、トレーナーが買っておいた中身が無いすっからかんの酒の瓶が二本と、酔い潰れたポケモンが一匹。
もう一匹はそのポケモンの隣で頬杖をついて座っていた。
「おい!!ムクホーク!!さっさと立てっ」
「うぇ~…ドダイトス……きぼぢわるい゛……」
「ったく…、おいバンギラス」
酒に手を出していなかったバンギラスに、ドダイトスが声をかける。
バンギラスは、はっと顔を上げた。
「なんだ?」
「ガブリアスを見ておいてくれ。そいつもいつ倒れるか分からんしな」
そう告げてドダイトスとムクホークは二匹と散乱した酒瓶から離れていく。
ガブリアスは相変わらずボーッとしたまま、もう暗くなり始めた空を見上げていた。
――目が据わってるし…
「ガブリアス。おい」
「………………」
「おいって……………、!!?」
一瞬、バンギラスの視界が真っ暗になる。
――原因はすぐに分かった。
抱きつかれたのだ。
他の誰でもない、ガブリアスに。
「なあぁぁっ!?お、おお、おい、ガブリアス!!?」
「暴れんなよ」
いつもとは打って変わったトーンで囁かれ、バンギラスの体がビクリと震える。
仕方なく大人しくした。
酔っておかしくなってるんだ、そうだ、多分…っ。
「っっひ!?」
いきなりガブリアスが腰をなで上げてきた為に、 バンギラスは思わず間抜けな声を出す。
当然、彼はものすごい慌てていた。
――なっ、なんなんだぁ!!?
「やっぱいい腰してるぜ……」
「おっ、い、やめろって!!!」
腰を撫でていた手は、やがて上半身に移動し胸板を触る。
空いていた左手はバンギラスの顎を掴んで、呆気無くガブリアスへ引き寄せてしまった。
「一発ヤんねぇか?」
「っ……は、はあぁぁぁぁ!!?」
驚いて思わず大声を張り上げたバンギラスだったが、場所が場所なので慌ててすぐに口を押さえる。
ガブリアスの顔は目の前にあるままだ。
徐々に、バンギラスの顔も熱を帯びてきた。
「なっ、なにがヤらねぇか、だ!!!そもそも男同士でできるワケねーだろっっ!!!」
「できるんだなー、これが」
ニヤニヤと笑いながらこちらの反応を楽しむガブリアス。
非常に腹が立ったので、眉間に皺をつくりガブリアスを睨みつけてやるが、逆効果だったらしい。
すぐに押し倒された。
「さぁて……どこから頂くかな…」
「いっ……嫌だあぁぁぁぁっ!!!」
半泣き状態で拒否の言葉を発するが、無駄だった。
ガブリアスの手がバンギラスの体を這いずり回る。
「なっ、なぁっ…よ、酔ってんだろ?そうなんだよな?だからこんな事するんだろ?」
「そうかなぁ~……。俺はいつもお前とヤりたくてうずうずしてるってのに、お前が鈍いから気付かないっ…て事もあるかもしんないぜ?」
え?
そう口にする前に、ガブリアスがバンギラスの首元に吸い付いた。
ギョッとして彼を引き剥がそうとするが、レベルの差は歴然で。
バンギラスの力では彼を引き剥がす事はできなかった。
「ちょっ、ば、痕が付くって!!!」
「付けなきゃキスマークになんねぇだろ」
き、きき、キスマーク!!?
もはや頭が混乱しすぎて言葉が出てこない。
そんなバンギラスをいい事に、ガブリアスは今度は彼の尻尾を掴む。
その尻尾を撫で上げ、そして更に揉む動作を加えていった。
バンギラスの体がビクリと跳ねる。
「ちょ、い……ぁ、やめろっ…!!」
「ここまできて誰がやめるかよ…」
不意に、ガブリアスがバンギラスの顎を掴んで引き寄せる。
――バンギラスが顔を背けようとした瞬間には、彼はもう口付けられていた。
「んぐぅ……っ!!?」
貪るように口内を舌が這い回る。
正直、気持ち悪かった。
数秒経って。
口を離せば、銀の糸が名残惜しそうに二匹の間を引く。
「んぁ……」
「エロ…最高だぜお前……」
クスクスと、まるで馬鹿にするようにガブリアスが口の端を吊り上げ笑った。
過剰なキスやセクハラ行為のせいで段々と遠退いてくる。
バンギラスは抵抗する事を諦め、ガブリアスに体を預けた。
「素直じゃねぇか」
満足気にガブリアスが呟いたのを区切りに、ガブリアスはバンギラスの腰を掴む。
そして
その自慢の怪力を使って、200キロはあるバンギラスの巨体を持ち上げ、見事騎上位へと態勢を回転させた。
「、なっ!!おまっっ…!?」
「チッ……やっぱちと重ぇな……ダイエットしろよ」
「なんだとっ」
その無神経な言葉が頭にきたバンギラスは、顔に青筋を浮かべてガブリアスの額を指で強めに弾く。
俗に言うデコピンだ。
痛がらせてやろうとやったつもりだったが―――
何故か、騎上位で仰向けになっていたガブリアスが突然上半身だけ起こし、バンギラスをこれでもかというほど強い力で抱き締めた。
「はっ!?お、おい!!」
「っ……デコピンとか…お前……可愛すぎだろ…っ」
そ、そっち!?
思わず腹の中でツッコむ。
しかしセクハラ行為がやめられたのは幸いだ。
だがこの怪力で抱き締めるのはどうにかしてほしい…。
窒息してしまうかもしれない。
抱き締めてくるガブリアスの甘い吐息が耳にかかってきて少しヤバい。
いきなりこんな風に態度を変えられても少しばかり困る。
うーんと心の中で唸っていれば、ガブリアスの力が突然緩まった。
力が抜けていくようにずるずると崩れ落ちるガブリアスに驚いて、バンギラスは思わず身を引く。
――よくよく見れば、ガブリアスはすやすやと寝息を立てていて。
…寝てしまったようだ。
「な、なんなんだよこいつ……」
あれだけ人を混乱させておいて、好きなだけやったら寝ちまった。
まだ自分の膝の上で眠るガブリアスの寝顔があまりにも幸せそうなので、バンギラスは仕方無く彼をそのままにしておいた。
「どうやって帰ろう…」
あれから結構経っているが、ドダイトスはもう戻ってこない。
ガブリアスは自分一匹で連れて帰るしか無いだろう。
そう考えると少しげんなりする。
「なんだったんだろうな、こいつの…」
やはり酔った勢いというヤツだろうか。
あの真面目人なガブリアスが、こんな自分のようなゴツいポケモンに、しかも年上の男に本気になる筈がない。(こいつは絶対年下好みだ)
しかもガブリアスはそれなりにモテる筈だし、女と付き合った経験もあると前に言っていた。
そんなガブリアスがゲイとかいうなら相当ショックだ。
そもそも自分はれっきとしたノーマルだ。
「…本気…なワケ、ないよな」
彼と自分は釣り合わない。
そんな事分かっている。
「ちょっと期待しちゃったかもなぁ…」
―――酒という物は、呑み過ぎると人の記憶を吹っ飛ばすらしい。
後日酒を呑んだ二匹は、それまでの記憶が綺麗さっぱり抜けていた。
結果わけも分からないまま、想いを寄せている相手が顔を真っ赤にさせながら自分を避ける――という事態になってしまうのだった。
お酒の呑みすぎにはご注意を。
[END]
あとがき
なんかちょいエロが書きたかっただけですねサーセン!!^^
とにかくセクハラさせましたどうでしょうかクッパさん…。
満足いただけなかったらまた言ってください><
お粗末様でしたっ!!