ひらひらと舞い落ちた、桜は。

 

「桜…、か」


窓から外を見れば、月の光に照らされて、風に揺られ美しく踊る夜桜が目に映る。
その美麗さにレックウザは、ほうとため息をついた。


「もうそんな季節か…。美しい物だな」

 

 


「ちわーーっす!!レクさぁ、ちょっとあの薬持ってない?さっきから咳が止まんなくてー」

 

 

バタァン、と、扉が勢い良く開いた衝撃で、桜が何枚か散った。

ブチ、とキレる。

 

「きっさま……。人が花見をしている最中にっ……」
「え、何?桜見てたの。あー、そういやもうそんな季節かぁ」


欠片も謝りもせず、その訪問者・デオキシスはレックウザに歩み寄った。

座って頬杖をついている状態のレックウザは、デオキシスを見上げる。

 

「で…。薬なら居間の机の上にある。さっさと出てけ」
「なぁ、花見するなら酒が必須だろ?なんで無ぇんだよ、なぁー」


出てけと言っているのにデオキシスは出ようという仕草を見せない。
それどころか酒が欲しいと駄々をこね始めた。

いい加減血管が切れる。

 

「なぁなぁ」
「なんだ、ったく」

「ちゅーしようぜ、ちゅー」


座っていた椅子が、ガタァァン、と轟音を立てて倒れた。
デオキシスはただきょとんとしているだけだ。


「レクー?」
「っば、馬鹿か貴様はぁぁぁぁっっ!!!!誰が貴様なぞと接吻するか、このクソボケッッッ!!!!!」

 

「もー、照れ屋さんだなぁ」

 

つんつんと額を指で突付かれる。

いきなりキスしようなどと言われたら、皆似たような反応をするだろうに。
なんなんだ、こいつは。

底抜けているというか、なんというか――。

 

「全く、貴様という者は……」
「ほっぺにならいいだろ?な、な?」

「…っ勝手にしろ!」

 

目を瞑り、後は身を任せるだけ。

すると、頬に、軟らかい感触が。

 

目を開けてデオキシスの顔を見ると途端恥ずかしくなった。
顔が熱い。


「あー、サンキュ。最近寂しくてさ」
「さ、寂しい…?」

 

「レク、さ。最近シンオウの方に行って、あいつに会ってるばっかじゃん。オレだって寂しいよ」

 


ギラティナの事だろう。

まぁ、あいつと会う前は、ずっと家の中にいて大半の時間をデオキシスと過ごしていたものだ。
恋しいのか、あの頃が。


「なんかさー。春がいっちゃったなぁ、みたいな」
「…………」
「お前が、桜の花びらみたいにオレの所から散っちゃってさ。春が終わったなーっ、て」


何を阿呆がロマンチストな事を言ってるか。


デオキシスを呆れた表情で見詰める。
彼が視線に気付き、笑った。

 

「好きだよ」

「……ふん」

 

 

 


そのとき背けたレックウザの顔が、僅かに赤くなったのを見たのは

 

 

ひらひらと舞い落ちた、桜だけ。

 


[END]

 


あとがき

終わったよん(・∀・)
デオレクいいよね。
フゥー

 

モドル