「ドダイトスってさぁ、自覚してないわけ?」
「……なんだと?」
ムクホークが自分の背丈より僅かに低い岩に頬杖をつき、ドダイトスを見る。
そう言っただけなのに、ドダイトスは声を一段と低くし、普通のポケモンならビビッて一目散に逃げてしまうであろう目でムクホークを睨みつけた。
しかし付き合いが長いが為に慣れている彼は、少しもひるまない。
「今日は機嫌悪ぃなあ……。自覚、って、あれだよ」
「遠回ししないでさっさと言え」
「自覚っていうのは、つまりドダイトスがめっちゃエロいって事………………
っぉおぶぅぅ!!!!」
要求されたからいきなり核心をつけば、頭部にものすごい衝撃が走る。
あとあとから頭蓋骨にひびが入りそうなほどの激痛がムクホークを襲った。
思い切り殴られたらしい。
頭がものすごい痛い上に、頬杖をついていた羽の体勢が崩れて、顔が岩にぶち当たった為に顔面もひりひりする。
酷い仕打ちだがいつもの事なので、ムクホークはすぐに立ち直ってドダイトスの側まで歩み寄っていった。
「だってさぁ、本当だぜ?全部エロいもん。まず声だろ、仕草だろ、腹だろ、尻尾だろ。
あとお前、前バトルしたミルタンクの『ミルクのみ』、あれあっちが肝心のミルクこぼしちゃってさ、お前の顔にぶっかかったろ。
いやー、あれ最高にエロくてオレ鼻血出すかと思ったよ」
「その口塞げぇぇぇぇぇ!!!!」
羞恥と怒りで顔を赤くし、ドダイトスはムクホークの足を思い切り踏んづける。
さすがに堪えたのか、ムクホークは『ぅお』と小さく唸ってドダイトスから少し距離をとった。
「いってぇ…全体重かけたろ」
「悪いのはお前だっ!!この変態!!!」
「お~怖い」
クククと小さく笑うと、ドダイトスの目つきは更に鋭さを増す。
ムクホークはそんなドダイトスの頭をポンポンと撫でた。
「ドーダイトス」
「っだからなんだ!!!」
「今日もいっちだんと可愛いぜ、ハニー☆」
逃げる準備は完璧に整っていた彼は、
ぶちギレたドダイトスがリーフストームの構えをした途端一目散に逃げ出した。
「キサマァァァァ!!!!それ以上のセクハラ発言をはたらいい加減訴えるぞぉぉぉ!!!!」
「オレは本気だぜー?」
一気にドダイトスから離れ、ムクホークは近くの木の枝に停まってとりあえず落ち着く。
ドダイトスも息をきらして木の下までやってきた。
「ひ、卑怯だぞ……お、降りやがれ…」
「どーしよーかな」
「っいちいち勘に触る奴だっっ」
下から思い切り睨みつけられる。
ムクホークは仕方なく下に降り、ドダイトスの前に立った。
しかし、降りて来いと言った当の本人であるドダイトスは、ムクホークを目の前にするなり、何故か一歩退く。
そんなドダイトスをムクホークは羽で引っ張った。
「なんなんだよ?オレの隣にいたかったんだろ?」
「変な勘違いをするな!!」
そう怒鳴っているドダイトスは既に逃げ腰だ。
ムクホークはふぅと一度ため息をつくと、ドダイトスを掴んでいた羽で彼を思い切り引き寄せた。
2匹の顔の距離は残り3cmほどになる。
状況を素早く理解したドダイトスは、顔をこれでもかと真っ赤にさせて、また怒鳴った。
「なっ、おまっ!!わいせつで通報するぞっっ!!」
「じゃあ抵抗しろよ?別に暴れてもいいんだぜ。…それとも、されたいのか?キス…………」
ドッガンッッ
思い切り頭突きされた。
一瞬視界が真っ白になったが、ムクホークはなんとか態勢を立て直す。
まさか本当にされるとは思っていなかった為、ムクホークは少々驚いた様子でドダイトスを見る。
「あのぉ……ドダイトス?」
「~~~っ!!ば、来るな近付くな!!!!」
「うぉい傷付くんだけど」
まるで林檎のような赤色に頬を染めて、ドダイトスはムクホークに罵声を浴びさせた。
そんな状況で更に頭が割れるように痛かったが、『さっさとやっときゃ良かった』と、ムクホークはさきほどの事を後悔する。
「ちょい涙出てんぞ?大丈夫かー」
「うるさいっ」
今日は全然まともに会話してくれない。
それがムクホークには面白くなかった。
だからあんな冗談も入れてみたんだけどなー………。
「…なぁなぁ」
「話しかけるなっ」
「こっち向けよ」
少しトーンを低くして真面目に言えば、ドダイトスがずっとそらしていた顔をこちらに向けた。
そして問う。
「オレのこと……嫌いか?」
「っっ」
おーオレの演技効いてる効いてる。
腹の中で笑いながら、ムクホークは少し切なげな目をしてドダイトスを見詰め続けた。
しかしドダイトスは、その言葉を黙殺するかのように何も答えないままだ。
かわいーなぁー
「なぁ……ちゃんと答えてくれねぇと、オレ……」
「わ、分かった!!えーとだなぁ、そっ、その、……ふ、普通だ普通!!!」
その曖昧な答えに、ムクホークは暫くポカンと呆気に取られる。
そして、思わず吹き出した。
「なっっ、何がおかしい!!」
「ドダイトス……マジで可愛いっ」
「俺のどこが可愛いんだぁ!!いつもいつも!!!」
「…全部言うわけ?オレ多分余裕で一夜は語るぜ」
げっ、と、ブンブン首を左右に振るドダイトス。
ムクホークはまた笑って、ドダイトスの横を歩いて通り過ぎる。
そして振り向いた。
「愛してるぜ、ドダイトス!!」
何度目の告白か分からない。
ただただ君を愛していて。
それが何度振り切られようとも、
僕は君が愛しくて堪らない。
[END]
あとがき
中途半端な終わりです。
ムクホークは年齢的に20代後半ですかね、自分設定で。ドダイトスはもうおじさんだよ、希望ですけどね。
ムクホークは書いてて楽しいです。動かしやすいし。
まぁこのCPは個人の趣味です。キャ☆言っちゃった★☆←(なんだお前)