「お、オレの情報?」
この状況が飲み込めず、とりあえずにハッポが声を出す。
しかし、今の二匹にハッポの声は届いててなかった。
「じゃあ、その情報とやらを言ってみろ。オレの至福の時間を奪うな(遊ぶから)」
「………ハッポの、大好物はラーメン。豚骨味。
好き嫌いは特に無いけど、どうしても食べれない物はゴーヤ。
得意料理は肉じゃが・味噌汁。和食派。
好きな芸能人は長澤まさみ、藤原紀香。
よく見るTV番組は、レッドカーペット、エンタなどのお笑い系。
初恋の経験は、15年前。告白できずにライバルに盗られ撃沈。
そり以降はそれがトラウマになって、恋はしなくなった。
……で…、酒に弱く、酔うと酒乱する。更にキス魔になる。
好きなプレイは―――――」
「わあぁぁぁああぁぁっっ!!!!!ちょっと待て、なんでそこまで知ってんだぁぁぁぁ!!!!」
「テメェのパートナーだからだっ!!」
即答すれば、ハッポは゛ぐ…゛と口を噤んだ。
これで信じてくれるはずだ。
「さぁ、ネロ。これでいいだろ?諦めろ」
「……いいですけどね。けど、まぁやる事も無くなりましたし、これからどうするんですの?」
「ほ、本当に入れ替わったのか、お前ら……」
まだ少し疑い気味だが、とりあえずはからしの言う事を信じてくれたようだ。
ハッポは腕の中にいたネロを離し、からしに近付いた。
「いきなりだったからなぁ……。何がなんだかよく分からず……」
「私もよく覚えていないんですわ。突然、頭に衝撃のような物が走って…」
「…なんだそりゃ……」
女言葉を喋るからしの声に、少し戸惑いながらも、ハッポは声を絞り出す。
なんとも複雑な気分だ。
自分の好きな奴の中身が、他の奴の体に入って、自分の好きな奴の体に、他の奴の中身が入っているのだから。
この文までもが、複雑だ。
「とにもかくにも、ここから出ない事だな。ただでさえややこしいんだから」
「リーダーの言う通りですわね。さぁて、どうしましょう」
「…オレが外に言ってくる。何か情報を手に入れられるかもしれないからな」
ハッポが思い立ったように立ち上がり、二匹に背を向ける。
しかし、ネロが慌てて彼を止めた。
「ち、ちょっと待ちなさいっ。私たちはどうすればいいのです!!?」
「適当にくつろいどけ」
「そんなぁ…、はっぽぉ」
「っっっ!!!」
腕を掴み、涙目でこちらを見上げてくるからし(中身はネロ)。
当然外見はからしなのだから、ハッポが無反応なわけがない。
普段こんな事絶対にしないからしなのだら、新鮮だし、それにものすごく可愛い。
「てっめ、ネロ!!また演技しやがってっっ!!!」
「あら、いいじゃないですの。リーダーが普段ハッポに甘えたりしないから、ちょっと新しい体験をさしあげただけですわ」
「あーーーっ、もう!!ハッポもなんとか言えよ!!!!」
「い、いや、その……。と、とにかく、オレは行くからな!!ここで大人しくしてろよ!!!」
別に嫌だったわけだはないから、なんとも言えない。
ハッポはネロ(中身はからし)の怒声から逃げるように基地を後にした。
基地のポストを見る。
大分依頼の手紙が溜まっていた。
今日はこの依頼をからしとこなそうと思っていたのだ。
けど、今、こんな思いも寄らない事件が起こってしまった。
仕方ない事だ。
今は情報収集に専念しよう。
「なぁなぁ、知ってるかー?」
空を飛んでいれば、下から声が聞こえた。
気にせず飛行を続行しようとしたハッポの耳に、一つの単語が飛び込んでくる。
「マナフィってポケモン。今この街にいるんだってよ」
――――マナフィ?
聞いた事のあるその名に反応して、ハッポは地上に降下していった。
会話をしているのは、ボスゴドラとヘルガーだ。
ここらではちょっとした有名チームだが――。
「マナフィ、だぁ?」
「あぁ。噂によると、なんか特殊な技を使うらしくて。なんだったけな……確か、
生き物の中身を入れ替える、だとか。そんなの」
「その話!!!詳しく聞かせてくれないか!!!?」
地上に降りたハッポは、その二匹の前に立ち叫んだ。
二匹は酷く驚いた様子で、目を見開いている。
「あ、あんた、あのKHKTの…ハッポさん!!?」
ヘルガーが感嘆の声を上げた。
リーダーがあんなでも、まぁ、世界的に有名なチームなのだ。
しかもそのチームリーダーのパートナーが目の前にいるというのは、それなりに興奮するものなのだろう。
「リーダーの方がいないじゃないスか。からしさんはどうしたんですか」
「あ…まぁ、な。今基地にいるよ。…じゃなくて!!!そのマナフィってポケモン!!今、どこにいるんだ!!?」
興奮状態で叫ぶハッポに少し戸惑いながら、ヘルガーは口を開いた。
「確か…街の方の預かり施設に……」
「そうか!!ありがとうっ」
聞くなり、ハッポはまたその大きな翼を広げる。
風が起こり、周りの草木が揺れた。
あっという間に地上から遠ざかり、ハッポは街の端にある預かり施設のある方角に首を擡げる。
そのまま、最高速度で目指す方角へ飛んで行った――――――――。
つづく
(またかよ!!)