片想い

 

「……マジかよー」
「あぁ。そんでさぁ……」


バンギラスとムクホークが親しげに会話をしている。
そんな様子を見る度に、何故か、胸に妙なものを感じた。

 

「ちょっとガブリアス。デカい図体してボーッと突っ立ってるんじゃないわよ」
「っあ、あぁ。すまない」

レントラーに声を掛けられ、彼、ガブリアスは我にかえる。
それでもその二匹から視線を外さなかった。

「…ガブリアス?」
「何」

「あんた、好きなの?あいつが」

 

瞬間、彼の顔が朱に染まる。
やっと振り返るとレントラーを見下ろし、必死に叫んだ。


「なっ、何言って……!!?俺がっ、ばっ、バンギラスを好きなわけがっっ!!!!」


「はーなるほどだわ。ムクホークじゃなくてバンギラスだったのね」

 


墓穴を掘るとは、まさにこの事だ。

 

 

「れ…レントラー……」
「これから一週間は、私の代わりにバトル全て出なさい。そしたら言わないわ」
「……はい」


やはり彼女には頭が上がらなかった。
そうしてその日はそのまま終わっていったのだ―――――。

 

 

次の日

 

 

「ガブリアス、゛かわらわり゛!!!」

運悪く、その日はトレーナーとのバトルが、思った以上に多かった。
レントラーの分も戦闘に出ているせいか、ガブリアスの体力も減りが激しい。
トレーナーも心配の顔色を表情に出したが、大丈夫だという仕草をしておいた。


「ふぅ……」

近くにあった岩にもたれ掛かり、ため息をつく。
まだ、外傷はそれほど受けてなかったが、わざの使い過ぎか、彼の表情に明らかに疲れの色が出ていた。

「あぁクソ、レントラーの奴……」

 

「ガブリアス。大丈夫か?」


その声に、肩がビクリと跳ねる。
振り返れば、そには彼の想い人が立っていた。

途端心臓が早鐘を打ち始める。


「ば、バンギラスッ」
「さっきから連戦中だろ?大丈夫なのか?」
「あ、あぁ。こっ、こんなぐらい平気だ」


高鳴る胸を必死に押さえ、なんとか答えた。
バンギラスは、少し安心したような表情を出すと、ガブリアスに近寄る。
そうして、彼を見下ろしながら言った。


「あのさ、ガブリアス」
「はいっ!!?」
「いや、その。今度暇があれば、オレの訓練に付き合ってくれねぇか?お前、まあ、認めたくねぇけど強いだろ。だから、頼むぜ」


神降臨。

 

ガブリアスはバッと立ち上がるとバンギラスの両手を取った。
バンギラスはその行為に驚いたのか、一歩後ずさりする。

「な、おい」
「分かった。俺に全て任せろ。お前の力、底上げしてやる」

そう言うと、彼は走り去って行った。
なんの事だったのか、と、バンギラスは呆然と突っ立っている。

まあ、とにもかくにも了解は得たのだろう。
バンギラスは彼の走り去って行く背中を見送った。

 

 


「…よっすガブリアス。お疲れさん」
「ムクホーク」

恐らく本日最後であろうトレーナーとのダブルバトルを終え、休憩をしていれば、ペアだったムクホークに声を掛けられる。
いつもは、バトルが終わると、真っ先にドダイトスに会いに行っている彼が自分の所に来たので、多少驚いたが、すぐに対応した。


「…お疲れ」
「いつもながら真面目で冷めてんなぁ。バンギラスに会いにいかねぇのか?」
「…な、なんで」

「好きな奴に会いに行くのは当然だろ」

 

レントラーが喋りやがった。

 

「うるさい。早くドダイトスの所にでもどこにでも行ってこい」
「おう。まぁせいぜい頑張れよ」
「さっさと消えろ!!!」

顔を真っ赤にして叫ぶ。
ムクホークはそんな彼を面白そうな表情で眺めてから、去って行った。

そしてまた、ドダイトスに抱きつこうとして殴られている。

 

「…はぁ」

同じ片想いなのに、あの鳥は自分と違う。
同じ―――なのに。

 

「…明日、」


明日の誘いを思い出した。

バンギラスに付き添っての訓練。

 

「……絶対お前より先に幸せになってやる」


両想いに、なるから。

 


[END]

 

あとがき

何故私の小説は終わり方はこう中途半端なの。
ガブバンの長編も完成させねば……うん。

 

モドル