オトメの恋心

 


「じゃあ、行ってくる」


オレは、今日、一匹で救助依頼をこなす事にしていた。
パートナーがサボるせいで。

「いってらっしゃーい」

そのパートナー本人であるジュカインのからし。
呑気にTVなどを見ている。

無性に腹が立つ奴だ。


「ったく、連れてって系はキツいっていうのに」

 

今日の依頼主は、キュウコンの女性だ。
連れてって系の依頼。
いくら彼のような実力者でもつらいだろう。

「晩飯用意しとけよ」
「できたら」


こちらに顔をも向けずにからしは答える。
いつもの事なので、リザードン――ハッポはスカーフを首に巻き基地を出た。

 

 

 

「こんにちは」
「あ…?っあ、あんたが依頼主か」
「はい」

ツヤのある白い体毛。
スラリとした体格。
陰りの知らぬ美しい瞳。

はっきり言って、そのキュウコンは

彼の好みだった。


からしを連れてこなくて正解だったかもしれない。


「今日はよろしくお願いします」
「あ、あぁッ」

それにこのおしとやかな仕草に口調。
本当に、いつも怠け者といるせいか、それも引き立って見える。

幸せだ。
二匹きりでだなんてデートじゃないか。


そうして上機嫌で探検に出掛けたハッポだった――――――。

 

 

 


「たっだいまーー」

基地を出たときとは裏腹に、トーンの高い声で帰宅する。
扉の向こうからからしが出てきた。

「なんだよ。随分ご機嫌だな」
「いやーちょっとさぁ。今日の依頼は一匹で行って正解だったぜ」
「…何」

その言葉に少しムッとしたように、からしの目が吊り上がる。
手に持ったままのおたまをこちらにビシッと向けてきた。

「どういう事だよ」
「依頼主のキュウコンが、だよ。どこかの誰かさんとは違って、おとしやかで礼儀良くてな。守ってやりたくなるタイプで、オレのすげー好みだったぜ」


そうルンルンと楽しげに話すハッポ。
途端、からしのおたまを持った腕が垂れた。


「…良かったな」
「からし?」

ハッポに背を向け、からしは台所に戻って行く。
その不可解な行動をするからしに、一瞬呆気にとられた。

「お、おい。いきなりなんなんだよ」
「うるさい」

こちらを見向きもせずに、そう言い放たれる。
当然ムッとした。


「お前、喧嘩売ってんのか!!?オレが何したっていうんだよ!?」
「…別に、お前は何もしてねぇけど」
「じゃあなんなんだよッ」

 

「いいじゃねぇか。いい奴が見つかって。オレに構う必要なんかもう無ぇだろ」

 


言っている意味が一瞬分からなかった。

けど、すぐに理解する。


「…妬いてんのか?」
「………ッ」

勘付かれたせいなのか、からしの横顔が徐々に赤くそまっていった。
普段見る事のできないからしの一面が、不覚にも、可愛いと思ってしまう。

「からし…、えっと、な…」
「っば、晩飯できてるからッ!!さっさと食って帰れよ!!!」

名前を呼べば、そのまま逃げられてしまった。
て、いうか夕飯作ってくれたのか…。


「…くそ…」


この日を境に、彼は恋心を抱き始めた――――――

というのは、内密だ。

 


あとがき

頑張った。一日一時間。
だから雑ですね。
からしがオトメっぽくなっていれば成功です。
からしがヤキモチしていればいいなー、なんて。

 

モドル