花を、一輪

 


「あんた、本当にドダイトスの事好きなの?」


「……へ?」

 

レントラーにそう問われる。
たまたま、2匹きりになり、気まずくなってた所だ。

お互いが苦手なタイプだから。

「んだよそれ。好きに決まってるだろ。オレの愛に揺るぎは無いぜ」
「その割には、嫌がってるドダイトスに一方的にアタックしまくってるじゃない」
「そ…、それは、オレの愛の形であって」

「馬鹿じゃないの。たまには引いてみたらどうなのよ」


馬鹿という言葉にカチンときたが、レントラーの言った事には言い返せない。
゛引く゛-------------


「…何すりゃいいんだよ」
「プレゼントとか、渡してみれば?」
「ドダイトスの好きな物ってなんだよ」

 

「あーーっ、もう知らないわよ!!!自分で聞きゃいいでしょッ!!!!」

そこで逆鱗に触れてしまい、思い切り叩かれた。
レントラーはさっさとムクホークの元から離れて行ってしまう。


「…仕方無ぇな。聞きに行くか」

 

 


「……好きな物?」
「おう!!なんか、欲しい物とかさ」


ドダイトスに直接聞いてみるが、明らかに不審そうな顔をされた。
ふい、とそっぽを向かれる。

「別に、お前に教える気は無い」
「分かった!!オレの唇を奪いたいなら全然構わないぜ!!!」
「お前は何一つ分かってない!!!」

「じゃあオレのヤシの木を………」

 


ドゴッ-------

 

 

 

「……あぁ…。いつもオレの愛は空回り……」

腫れ上がった頬を押さえた。
じんじんとそこが痛む。

「なんか久し振りに殴られたような気がする」


もう二度と話し掛けるな、と言われたが、さらさらその気は無い。
ただ、あいつがもらって嬉しそうな物を、ひたすら考えた。

「考えてみれば、好きな奴の好みも知らないオレって一体……」

何故か、ネガティブ思考に陥り、どうしようもないくらい、彼は落ち込んでいた。


そのとき、目に入った物。


「…これ……」


知っていた。
これを渡せば、名誉挽回かもしれない。


「いよっしゃあ!!待ってろオレのドダイトス!!!」


周りのポケモンが、どんよりしてから突然立ち上がって叫んだ彼を不審に見ていても、彼自身は全く気付いていなかった。
ムクホークの頭には、もはや愛しい彼の笑顔しか無かった。

 

 

「ドダイトス!!!!」
「…またお前か…。いい加減にしろ」


大声を出して彼の名を呼べば、思い切り大きなため息をつかれる。
それもお構いなしに、ムクホークはドダイトスの傍らに寄り添った。

「お前に、渡したい物があるんだ」
「何……」


ドダイトスが言うが前に、ムクホークはそれを突き出す。


それは、小さな、一輪の花。


「コチョウラン……」

「お前に、プレゼント渡そうと思ってたんだけど…。好きな物分かんなかったから、オレの好きな物、な。綺麗だろ」


だから、あのとき好きな物を聞いたのか-----------------

なんだか、急に申し訳ない気分になった。


「…あ、ありがとう……」
「いや、オレこそ、いつも悪かったな。ドダイトスが嫌がる事ばっかして」

ムクホークはそう言うと、持っていた花をドダイトスの頭に飾る。
そうして、ドダイトスの耳元で囁いた。

 

「コチョウランの花言葉は、゛あなたを愛します゛」

 


カァッと、顔が赤くなるのが自分でも分かる。
改めて、こいつの気持ちを知らされたような気がした。

「馬鹿……」
「馬鹿でも構わないぜ」

羽でドダイトスを抱きしめ、頬に小さくキスをする。
抵抗はされなかった。

 

「愛してる」

 

 

貴方に捧げる、愛の花

一輪一輪に込められた、花言葉

気持ちは、伝わったでしょうか。


[END]

 


あとがき

まあとにかくこの二匹をいちゃつかせたかったと。
マイナー上等だよ。
ムクドダ好きなんだもん。

 

モドル