この居場所からは、何があっても離れられない。

 


「いい加減にしろッ!!!テメェとは絶交だ!!!オレは今日で救助隊を抜ける!!!!」


その場の勢いと、限界まできた苛立ちで言ってしまった。
しかし、出てしまった言葉は、もう口には戻って来ない。

 

その日。
救助隊のパートナー同士であるからしとハッポはある事で大喧嘩をした。

理由は、からしの一言からだ。

いつものように依頼をこなす事を面倒臭がり、からしはハッポに向けて言った。

 

「うっせえな。だったら、オレの事なんかほっといて、救助隊やめりゃあいいじゃねぇか」


さすがに、許せなかった。
そして、最初の言葉を言ったのだ。

はっきり言ってもの凄く後悔していた。
誰だ。
救助隊作ろうって言ったのは誰だ。

紛れも無く、この自分だろう。


今なら、謝りに行ける。
ただ、「ごめん」と一言、言うだけではないか。

だが、その一言を言うのが、とても難しかった。


------あいつから、謝ってくれねぇかな…

「あぁっ!!くそ!!何甘えた事言ってんだ、オレは!!!」

情けない…
自分に自分で嫌悪感を抱いた。

もしも、あいつが傷付いていたら----

いや、呑気にTVでも見ていたら、焼く。


「ごめん……」


空に、そうつぶやいた。
誰も返事はしてくれないが。


探検に行ってくれなくても、依頼をこなしてくれなくても、どんなに怠けていても、

それでも。

「くそ…。からし……」

彼が、たまらなく好きだった。


からしへの怒りは、いつしか消え去り、ハッポには後悔とからしへあんな事を言ってしまった罪悪感しか残っていなかった。
もう、後戻りなどできない。

「なんで…。好きになっちまったんだ……」

そんな事、分かっている。

「なんで……」

あいつの笑顔が好きだから。
あいつの声が好きだから。
あいつの、優しさが好きだから。

理由なんて、思い返せば山ほどある事なんて。


「ハッポ!!!」

 

背後から、懐かしく愛しい声が聞こえた。
驚いて振り向く。

「っ…!?な、からし!!?」
「お前が……っ、いきなり怒鳴って飛び出すから…。まだ、怒ってんのかとっ、思って…っ」

大分、走ったのだろう。
体力のあるからしが、足に腕をついて息を切らしている。

「何、言って…」
「ごめんハッポ!!オレ、探検でも、依頼こなすのでも、なんでもやるから!!だから、救助隊やめるなんて、そんな事やめてくれ!ハッポがいなきゃ、オレ、救助隊なんかやりたくない…ッ」


なんで、そっちが謝るんだ。
酷い事を言ったのはこのオレなのに。

だから…
だから、そんな顔をするな。
今にも泣きそうな顔をするな。


「……馬鹿だな」
「は、ハッポ…」
「オレが、救助隊やめるわけないだろ。あのときは、つい、カッとなってたから…。そ、その、救助隊にいれば、ずっと、お前といられるし…。」

「本当か!!?」

謝るつもりだったが、またこいつが笑顔になったからいい。
救助隊も続けられる。

 

抱きついてきたからしに、腕を回す事ができなかったのは、彼がただヘタレというヤツだったからか。
けど、帰り道に手を繋ぐ事だけはできた。


翌日はまた、からしが寝坊しただとか。

[END]

 

モドル