スマブラXの準備は、刻々と進められていた。
マスターハンドに連れてこられたファイター達は、
「全員が揃うまで屋敷で適当に暮らしておけ」
と言われ、今現在スマブラ館で日々を過ごしている。
フォックスもまた、参戦者であるファルコと共にスマブラ館に来ていた。
当初は最初の方で来た為に、まだマリオやピーチほどしかいない、寂しい屋敷内で数日を送っていたが、1週間経った今は新参戦者も含めた、20人以上のファイターが屋敷に集まっている。
「そういやマリオが言ってたけど、今回はオレ達の世界からも新参戦者がいるらしいぞ」
「あぁ?」
ところ変わって、ここは2階のある一室。
ファルコとフォックスの自室になる為に、2人で家具の運び込みをしていたのだ。
「クリスタルか、そこら辺じゃねぇのかっ」
「でもクリスタルは違うって言ってたし…」
「ふーん」
「ちゃんと聞けよっ!!」
家具を運びながらフォックスの言葉を適当に受け流すファルコに、フォックスが怒鳴る。
ファルコは面倒臭いと思いながらも、忙しく動かしていた手を止めてフォックスを見た。
「なんかこうドッキリみたいな物じゃねぇの」
「ドッキリ?」
「こっち来てからバラすみたいな、よ」
そろそろ朝食の時間だと悟ったファルコは、そう言って部屋を出た。
フォックスはそのままベッドに座り込む。
ファイターは2週間以内には全員集まる。
その内分かる事だ。
フォックスがうたた寝を始めようと、体を横にしたそのとき
「どわあああぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
1階から、ファルコの物と思われる叫び声が耳をつんざく。
何が起こったのかと、フォックスは階段を転げ落ちるように下りていった。
細かい装飾がされたダイニングの扉を開ければ、そこには朝食を普段通りに進めているファイター達の姿があるだけだ。
「あ、あれ…」
フォックスは中に入りダイニング全体を見回す。
「フォックス。おはよう」
ピーチに声をかけられ、フォックスはぐるりと体ごと後ろに振り返った。
「あっ、ピーチ。おはよう。あの…」
「ファルコ達ならあっちよ。新参戦者のワンちゃんもいたわ」
そう言い残して、ピーチはダイニングを出て行く。
新参戦者、という言葉が引っかかり、フォックスはピーチが示していた場所に早足に向かった。
ついに「スターフォックス」からの参戦者が分かるかもしれない。
「ファルコ!!」
ファルコの後ろ姿に声をかける。
ファルコが振り向いたと同時に、その場所から聞きなれた声が発せられた。
「…久しぶりだな、フォックス」
低い、残忍そうな声。
ファルコのものではない。
フォックスは、恐る恐るその声の主を見た。
途端、驚愕の声を上げる。
「ウ、ウ、ウルフッ!!?」
その目に映ったのは、フォックスのライバルであり、スターウルフのお尋ね者リーダー、
ウルフ。
左目の眼帯は相変わらずだが、スパイクアーマーや棘のついたブーツはまだ真新しい。
恐らくスマブラの為に新調したのだろう。
「ダイニングに来たらこいつが平然と朝飯食ってやがった…」
「スターフォックスからの参戦者ってお前だったのか!?」
「あぁ。どうした?ビビって腰が抜けちまったか」
「っんだとォ!!?」
ウルフの挑発に、ファルコは怒鳴って握りこぶしをつくる。
そんなファルコをなだめながらフォックスが言った。
「じゃあ向こうの方で連絡をくれても良かったじゃないか」
「オレとお前のチームは敵同士だぞ。そんな事する必要なんざねぇよ」
「いちいちカンに触る言い方だな、お前は…」
ウルフは部屋に戻るのか、それだけ言うとダイニングの扉に歩き始める。
扉を開こうとしたその背中に、フォックスが声をかけた。
「ウルフ!!あとで組み手しないか!?」
「…ふん。暇があったらな」
なんとなく、それが了解の返事に聞こえた。
何時振りだろう。
あいつと会うのは。
ライバルはあの時よりだいぶ腕を上げていて、少しだけ焦ってしまった。
このスマブラ界に、ウルフが来てくれて良かったと、心の隅に想う。
[END]