いつもの日常の急変

「ヤッターアンコウ、出動!!」


最近に、1号が水中での戦闘も可能なメカを作る為に生んだ、ヤッターアンコウ。
今日の出動はヤッターアンコウらしく、基地に残ったのは、ヤッターワンとヤッターペリカンのみであった。

基地内はしーんと静まり返る。

 

ヤッターワンは静かに欠伸を一つし、ペリカンは隣のヤッターワンとは正反対の方向を向く。

二体きりになると、どうも会話が切り出せないのであった。

ムードメーカーになるアンコウや1号もおらず、重い空気が流れる。


「…………先輩」
「わん?」

ふと、ペリカンが口を開き、ヤッターワンに話しかけた。
しかし顔はあちらを向いたままだ。


「こんなコトを聞くのもなんデスが……」
「……?」

 

「先輩は、今、本気で恋している相手はいマスカ?」


突然の質問。

その言葉に、ヤッターワンは一瞬呆気に取られた。
少し戸惑ってから、静かに告げる。


「べつに……いないワン」

 

言った瞬間、いきなり視界が真っ暗になった。
驚いて思わず目を瞑ったあと、背中に衝撃が。

壁だ。


壁に背中がぶつかったのだ。

何故か。


目を恐る恐る開いて前を見れば、目と鼻の先にペリカンの顔があった。
肩と腕はペリカンの羽によった押さえられ。


ヤッターワンは壁に押さえ込まれていた。

 

「わ……わん?」
「……本当、デスカ!?」

ペリカンの気迫に、ヤッターワンはただひたすら頷く。
そうして。

数秒後に、ペリカンが放った一言。

 

「……、Care for you」


さすがに、ヤッターワンでもその言葉の意味は直訳できた。

Care for you――――日本語に訳すと


『あなたを愛しています』

 

一瞬の間を置いてヤッターワンはその言葉の意味を理解し、メカなのにも関わらず顔を真っ赤に染めた。

「――――っ!!?」
「ずっと、好きデシタ」

ずい、と一気に顔を近付けるペリカンに、ヤッターワンは更に顔を赤くさせて慌てる。
ペリカンの真剣な眼差しに見詰められて、体が固まり、一切の動きができなくなってしまった。

ペリカンは尚も引かずヤッターワンに言い続ける。


「先輩は可愛すぎるのデス…。meがyouを好きになったのも、全部先輩のせいデス。責任取ってもらいマス」
「っな、な、し、知らないワン!!さっさと離れるワン!!!」


グイッとペリカンの胸を腕で押し、力づくででも彼を引き剥がそうとするが、それも叶わず。
ペリカンの顔との距離は3cm程にまで縮まってしまった。


「先輩……許してくださいネ…」
「な………んッ!!?」


突然呼吸が不可能になる。

それが、2秒程続いた。
唇への感触は、冷たかった。

 


「っ、っ、い……っ」
「息止めてたんデスか?ビギナーデスね」

 

「………、!!っああぁぁぁぁああぁぁ!!!!!」


一瞬の間があって、やっとヤッターワンが反応を示す。
すぐに口付けられた口を押さえて、ヤッターワンは声にならない叫びを繰り返した。


「っ、っ!!っっ、~~~っ!!!」
「What?もしや先輩、fiast kissがまだだったんデスか。いやぁ、sorry、sorry」


段々と余裕を持ってきたのか、ペリカンはヤッターワンをあれよこれよと言葉責めにしまくる。
一方のヤッターワンは、半ば放心状態で顔を真っ赤に染め、ペリカンを睨みつけるだけだ。

それをいい事に、ペリカンはヤッターワンの体を抱き締めた。


かなり強く。

 

「っ!!?は……放すワン~~~ッ!!!」
「先輩に好きな女性がいなくて好都合デス。…fiast kissのついでに、処女も頂いてよろしいデショウか?」

 

「っっ、いい加減に………するワン!!!」

 


懇親の力を込めて。

 

ヤッターワンはペリカンの口ばしにアッパーカットを喰らわせた。

 

 

「Oh!!!っせ、先輩…!!?」

 


「大嫌いだワン!!!この変態!!!地獄に落ちろ!!!」

 

散々わめいた後、ヤッターワンは基地から勝手に外へ出て行ってしまった。
ペリカンの周りに、虚しい沈黙だけが訪れる。


「へ、ヘンタイ……デスか…。…って…………、

 


NOoooOOOooo!!!!!せ、先輩、待ってください!!!wait、come back please!!!!」

 

続いてペリカンも、背中のジェットを全速力で噴射して基地を飛び出した。

 

 

―――――――――――――――――

 


「先輩…どこデスかぁぁ」


外に出たはいいものの、ヤッターワンはまったくもって見つからない。
上空から街を見下ろしていてもそれらしき影は目に入らなかった。


「せんぱぁぁい、sorryデスぅ!!!本当に戻ってきてくださいぃい…」

 

 

その後、基地に戻った1号と2号とアンコウは、2体のメカがいないのに気がついて、こちらもまたまた捜索活動に出ていたのだとか…………。

 

 

[END]

 

あとがき

とりあえず一本ーーっ!!
これタイトルに数字とかが無いけど、一応次に話が続きます。
ペリカンの英語交じりの喋りがめんどいです…こんなんでよろしいのでしょうか。
っつーか主人公方が全然喋ってませんーー。
 

モドル